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やはり母校の現役が強いとOBである我々も嬉しいですよね。しかしながら、わずか2年と少しの間に強いチームを作り上げていくことは、都立高校の練習環境や人材(九段の場合は男子の絶対的人数の問題もあるし)から考えると本当に難しいことです。
例えば高27回のように、始めからすごい人材が揃っていたりすればいいのですが、それは九段の歴史の中でも結構稀なケースです。
そこで、ごく普通の高校1年生(私のような)が入部し、短い練習時間の中で強くなっていくためにはどうすればいいのかについて考えてみました。
ただし、これは全く私の個人的な意見であることと、決して私が現役時代にご指導いただいたOB諸兄を批判するものでは無いことを最初にお断りしておきます(“冷や汗)。
高校レベルでの強いチームを作るために、大きくは「個々の体力アップ」「個々の技術力アップ」「チームとしての総合力アップ」に分けて考えてみます。
まず「個々の体力アップ」については各自に任せる部分を増やしていくべきだと思います。つまり、個別にメニューを渡して、各自が自分の責任でそれを行うようにし、集合練習の時間をあまり使わないようにするのです。
練習時間が充分ある場合は全員で体力運動をしても良いのですが、それには都立高の練習はあまりに短かすぎます。また、鍛えるべき体の部位、負荷のレベルも個人差が大きいので、全員揃って同じことをするのはあまり意味が無いように思えます。(全員で同じことを成し遂げた!という満足感は試合だけで充分だと思うし)
昔と違って、今は筋トレの理論もずいぶん進歩していますから、最新の理論に沿って個別にメニューを与えれば良いのです。
知人に聞いたのですが、同じ筋肉を鍛える場合には(腹筋・背筋を除いて)毎日やるのではなく、間に1〜2日はさんだ方が効果的だそうです。
つまり月曜が胸筋なら火曜は下半身、水曜は腕の筋肉といったように、交代に筋肉を休ませることが必要だということです。(だったら俺達の頃の合宿の筋トレは一体何だったの?)そうして、一度壊れた筋肉組織がより強く再生されるのを待ってからさらに鍛えると短期間に効果が現われる(らしい)です。
そういうことを研究したうえで、各人の適性とポジション、現状を把握しトレーニングメニューを作ってあげることが必要です。そのためには筋トレに詳しい外部の人に手伝ってもらってもいいのではないでしょうか。
また、私達が現役の頃よくやった長距離走による持久力アップは必要ありません。なぜなら、私の代での優れた2人のプレイヤーであった今井、梶並両名は揃って長距離が超苦手だったからです(誉めてけなしてゴメン)。むしろ短距離のインターバル練習が有効だと思います。(しかも直線ではなくジグザクとかサイドステップ・クロスステップとか前後進とか、プレイ中に起こりうる動きを想定したものです)
まあこの辺りの詳しいことは専門書や専門家にまかせるとして、重要なのは「個々の体力アップ」は各々がそれぞれの最適メニューに沿って自分で行うということだと思います。
むしろバレーに重要なのは(集合練習の時間を費やすべきなのは)プレイの中で、自分の体力(筋力)をどのように使いこなすかです。腹筋や腕の筋肉がやたら強くても、プレイに活かせないのでは全く意味がありませんから。それが私のいう2番目の「個々の技術力アップ」です。
技術力のアップというと、小手先のテクニックのように聞こえますが、実際にはそうではなく「あるプレイの時に、自分の体をどのように動かすべきかを知り、自然にそう動けるようにする」ということです。
これは徹底的な反復練習あるのみです。ただし、プレイヤーに練習の目的をはっきりと教えてから実施することと、現実にゲームの中で起こりうる状況を常に想定することが必要です。例えば昔は「ワンマンレシーブ」というのがありました(これは相当キツかったです)。しかし、これは現実に試合の中では起こりえない状況下での練習ですからOBのストレス発散以外の効果があったかというと疑問符がつきます(もっとも、それが主目的だったのかな〜?)。
例えばレシーブ練習ならば、地面に立ったまま低い位置で打ったボールを受けるのと、ネットを超えてくる高さから打ってくるボールを受けるのでは、レシーブ時の腕の角度や視線、距離感などは全く違います。したがってマンツーマンや3:3のシートレシーブなどはボールの感覚を確認するための試合前・練習前のウォーミングアップとしては有効ですが、レシーブの絶対能力の向上のためには、やはりネットを超えて飛んでくる角度のある打球をレシーブする練習を繰り返し行うことが必要です。そうすることにより、実際にゲーム中に飛んでくるアタックの受け方を体で覚えていけるし、どの辺りまでは自分の守備範囲なのか、それに合わせて、どの辺りで構えておけばいいのかなどが学習できるわけです。
この考え方は全ての技術練習にあてはまります。例えばオーバーパスの練習をする場合に、2人が3〜4mくらいの幅でちょこちょことやるのはベテランの試合前のアップであり、オーバーパスの絶対能力を高めるためには、ゲーム時と同様、動きの中でオーバーパスをする練習の習慣をつけることが必要ではないでしょうか。例えば一人は1点に止まったままで、もう片方は前後左右に動いてオーバーパスをするとかして、手だけでなく足の運び方やスムーズな重心の移動などを日頃から体で覚えることが大切です。実際にゲームでオーバーパスをする場合は、ボールの位置まで移動してからの方が多いのですから。
ポイントは「動きの中で」「いかに正確な」プレイができるかということです。個々の技術を伸ばすためには、そうした観点から練習メニューを組み立て、実行させることが必要です。
そして最後に「チームとしての総合力アップ」です。
これにはまず、バレーボールの本質を全員が理解することから始まります。バレーボールは基本的に3タッチで相手のコートにボールを返すゲームです。アタックやブロックは、それをさせないための「手段」であり、それ自体は目的ではありません。あくまで、3タッチでボールを相手コートに返すこと、そしてそれを相手チームよりも常に1回多くすることがバレーボールの本質です(と、元全日本女子のエース、佐藤イチコさんが言ってました)。そしてコート内にいるプレイヤーは、ボールに触るかどうかに関わらず、そのことに対してチームに常に貢献し続けることが義務です。
ちなみに、国際大会レベルですとアタック決定率は60%台、インカレレベルで50%台と言われています。高校バレーではきっとそれ以下でしょう。したがって、各プレイがすべてアタックに結び付いたと仮定しても(机上の計算ですが)半分はそれ以外の要素で得点が決まるわけです。サーブであったりブロックであったりあるいはつなぎのミスであったりです。
仮に高校の予選レベルでのアタック決定率が40%とした場合を考えてみます。相手の方が自分達よりも2倍のアタック能力があったとしても、それはゲーム全体に及ぼす影響度からすると約13%の差に過ぎません。この差はサーブやレシーブの正確さ、チームとしてのつなぎの能力で充分補えるものです。
実際に現役のころの負けゲームを思い出してみると、相手にいいようにバシ〜ンとアタックを決め続けられることは稀で、むしろサーブレシーブミスや混戦でのお見合いや連携がうまくいかないなどの内部的理由でくずれることの方が多かったように思います。(前者で覚えているのは、唯一、都の本大会の2回戦で、結果的に東京都で優勝した早実とやった試合くらいです。)
その逆に、明らかにアタック能力に優る相手といい勝負をしたり勝ったりした経験はたくさんあります(それはOBになってからでも一緒です)。つまり、高校バレーのレベルでは、「つなぐ」ことが非常に重要なのです。
ここで前に述べた「コート内にいるプレイヤーは、ボールに触るかどうかに関わらず、そのことに対してチームに常に貢献し続ける」ということの重要性が出てくるのです。例えば「レシーブのカバーをすべき人間は必ずボールに正対して次に起こるかもしれない自分のカバープレイに備える」「ジャッジを的確にする」「プレイヤーが交差しそうになった場合には必ず後ろ側の人間が指示を出す」「ここに飛んでくるボールはどのポジションの人間が拾う」といったような約束事がしっかりできているかということや、トスがアタッカーに上がった時に全員で「打て〜っ」という意志の統一、相手のブロック枚数をアタッカーに教える声など、実際にボールにタッチしなくても常にプレイに参加しチームに貢献することが「チームとしての総合力アップ」につながります。
これらは当り前のことのようですが、実際にゲームが不利に展開している時にはできていないことが多いのです。これらが全プレイヤーに浸透し、徹底されればチーム力は一気に向上します。日頃の練習から「言葉で理解させ」「体で実践させる」ことをやかましいくらいに徹底することが大切です。
一般に頭を使ったフォーメーションがらみの練習は前半(疲労のたまる前)に、反復練習で体に覚えさせる練習は後半にしたほうが効果的といわれています。しかし都立高校の場合、実際には短い練習時間ですから、曜日毎に課題を作って練習メニューを組み立てるとより効果的な練習ができると思います。
きっと今回の私のコラムには様々な「異論・反論・オブジェクション」があると思いますが、現役に強くなって欲しいという思いは皆さん一緒だと思いますので、掲示板とかでもこうした議論ができ、少しでも現役のためになれば「このホームページも意味があるな〜」と思う次第であります。また、くどいようですが、これは決して私が現役のころの合宿の朝練を否定するものではないということを(特に黒瀬さんに)お断りしておきます!押忍!!(佐羽 高29)
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